ワインと読書vol.18_近代化を終えた日本の行方を考える、村上龍さん「寂しい国の殺人」
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何度めかの邂逅、この表紙の退廃の香りが好き。
コロナに猛暑ダブルパンチの2022年夏は、部屋で読書がはかどります。
これまでと違うのが
以前、読んだことのある本を当時の匂いごと辿るかのように
「もう一度読む」のにハマっていること。
はて、何でだろう?
ちょっと
意識が後ろ向きなのかもしれませんね。
もしくはいったんリセットするための禊か。
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村上龍さんの本は個人的に大好きで
何でしょう、どんなことが描いてあっても必ず
龍さんだけの美学があって
赤ワインをちびちび飲みながら読み進めるのが好き。
(ワインに詳しい龍さんには笑われちゃいそうな安旨ワインですが!笑)
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さて、こちらの一冊は
たしか数年前。子どもが生まれてから一度読んでいた本で
あれは『希望の国のエクソダス』だったか『5分後の世界』だったか
日本ってどうなっちゃうんだろうって衝撃を受けたあと
貪るように、読んだ気がする。
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今の日本、少し先の日本、そして遠い未来
それはガクンと急降下するというよりはじわじわと下降線を辿るような
「じゃあ今何をしたら良いんだ」という解に導かれないような
ただただ、目をパチパチさせて
できればこのまま思考停止したい、と思わせられる
いやきっと今皆がその状態で実際に思考停止状態に陥って久しく
気づかないうちにもはや下降トレンドは進んでいるんだろう
その角度に慣れてしまった私たちはそれを不思議ともだめだとも思わず惰性に倣っていて
これじゃだめだって、読んで思うんだけど抗うことができない
そんな自分をもどかしく思う
そして、今日も下降トレンドに加担する
そんな現実をこれでもかとスマートに分かりやすく目の前に並べられて
語弊を厭わず言えば打ちのめされるのが心地良い。
近代化を終えた日本はどこへ向かうのか
本文より
金とブランド品にしか価値を認めない女子高生は今の日本人の価値観を忠実になぞっているだけだ。
言うまでもなく、金とブランド品という価値観は近代化を果たしていない開発途上国のものだ。
これが20年前に描かれた作品であることを忘れそうになるけれど
当時のギャルは、たしかに金とブランド品に価値を置いていたのでしょう
あれから20年。近代化を終えた日本はどう変わり
変わらない部分はあったのか
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近代化が終わり、国家的な目標をなくした日本。
そのうえで “次” に来るべき個人的価値を見いだせず
日本人はいま寂しさの中にいる。
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もう国家的な目標はない。
本文より
だから個人としての目標を設定しないといけない、その目標というのは君の将来を支える仕事のことだ、そういう風にわかりやすく親切にアナウンスしてあげないとわからない人々がいる。
子どもたちだ。
淡々と、短い言葉のなかに
この国の抱える「寂しさ」が浮かび上がる
決して明るい気持ちにはなれない。でもどーんと落ちるのともまた違って
ただただ、放心??
今はただ、明日を明るく迎えることだけが今のワタシにできることで
今夜は
多幸感のあるとっておきのサンジョベーゼか↓
思いっきりアロマティック?↓
いつかは、龍さんの本で読みかじった
オーパスワンにもお目にかかってみたい(一生ムリ)↓
図らずも、ちょうど「六本木クラス」の竹内涼真くんを見て
「ユニコーンに乗って」の西島秀俊さんを見て
いい大人が今世の中のためにできることってものの手本を見せてもらったとこだったので。
文句を言ってるだけじゃ始まらないからね!
な〜んて、
「希望の国のエクソダス」を読んだダナン(ベトナム)の熱気を思い出しながら
同じくらい暑いアジア化した日本の夏を過ごすKyocoです。
Kyoco