ワインと読書Vol.9_すべての人生を肯定してくれる小野寺史宜さんの「ホケツ!」
「つねに日の当たるスポットライトの中にいた」
そんな人、この世にいるでしょうか?
どんな人だって、大なり小なり
悔しい思いをしてきただろうし
自分以外の人がとても大きく感じて
自分のこと
「とるに足りない存在だ」と思ってしまう夜がある
そんなことを、しみじみと噛み締めては
「それもわるくない」っていうところまでちゃんともっていってくれる
そんな良書です♪
人生という舞台でもホケツ..
そんな気分になるとき、あるよね。
舞台は高校サッカー部。
(補欠なのに)つい家族に
「点をとったよ」と言ってしまう
母のためについたうそ
ヤラしい、エロいに近いうそ、
自分を大きく見せる必要はなかったのについたうそ。嫌なうそ
その違いの描写。
そういう細かな心の機微を
すごく丁寧に、両手ですくって見せてくれる
1行1行に
「沁みる、、」となるのだけれど
後書きから引用させてもらうなら
「これはポジションを手に入れられなかった人の慰め小説ではない」
のです。
日常のいたるところにある
自分への不甲斐ない思い
それを認めたくない思い
そんな悲喜交々にもちゃんと出口はあって
実直に、正直に、求めていけばいいんだって
そんな気持ちになれる本です。
「ひと」や「まち」、etc…
人を包み込む視線が温かい
とくに、主人公の大地くんがすごく今の子っぽいというか
バランサーっていうんですかね
個人的なハナシになるんですが
私も、こういう気持ちになることがけっこうあって..
絶対的ストライカーの悟でもなく、守護神に燃える利実でもない
サッカーはそこそこでも勉強のできる節朗とか
ムードメーカーの圭吾みたいに
「コレ」といった強みもない。
そのうえ両親が他界して身の置き所もあやうい
「ナニモノでもない自分」を持て余しそうなものなのに
叔母さんに迷惑をかけないよう自分のお皿を洗いながら
レギュラーである仲間に気を遣わせないよう自虐しながら
静かに
自分のあり方を探していく感じ。
昭和ちっくに
「どーんとぶつかって、一回壊れて再生する物語」ではなくって
周囲に配慮し、聞き分けよく距離感を保ちながら
自分のほうを “整え” ていく。
「今を生きる現代人っぽいなぁ」と思います
なんか、同じサッカーで例えるならば
長谷部(誠)さんをすごく感じる。
まぁ、キャプテンの長谷部さん役というのは
ちゃんと「尚人」というのが出てくるのだけれど
ね。笑
ウフフ
小野寺史宜さんのことは
遅ればせながら「ひと」で知ったのですが
こちらも、しみじみと良かったです
淡々と描かれる喪失と希望のものがたり。
ドキドキするような種明かしもなければ
泣かせようっていう特別なイベントもないぶん
じっくりと行間を味わえます。
小野寺史宜さんのおすすめブックレビュー
→ こちらから☆☆
そんな読書に合わせたのは…
飲むたびじゅわっと♡
幸せになれる、多幸感の赤。
小野寺さんの作品は
だいじにそっと(自分のペースで反芻しながら)
集中して読みたいから
甘めの赤がいいかなぁ〜
時間の流れをゆっくり留めてくれて
温かな気持ちに浸れるやつ。
たとえばこんな
多幸感のあるグルナッシュはどうだろう
→ 悩み多きオトナ女子を多幸感の彼方へ吹き飛ばす♡癒し全開ガルナッチャ
KALDIのやつですね
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読後感は、ひとつ大きく深呼吸して
「よ〜し!」と思える
そんな感じ。
今の自分も、それから
あまり好きだと思えなかった人たちも
「みんな生きているんだよ」って
まるっと、包まれるような感覚。
小野寺さんワールド全開です!!
ぜひ読んでみてくださいね♪
Kyoco